アジアとの関係、民衆の歴史、女性史・ジェンダー史に光をあて、マイノリティや辺境からの視点を重視。中高生からシニア世代まで、コンパクトに学べる日本通史。上巻では旧石器時代の人びとの生活から幕末の動乱期までを描く。
I 原始・古代
一 新石器時代人はクリを栽培した
人類の誕生と旧石器時代/新石器時代/鳥浜貝塚/三内丸山遺跡/世界史と日本史の時代区分
二 日本列島は中国の歴史書に記録された
縄文時代晩期の水稲農耕/中国の歴史書に書かれた倭国/倭の女王・卑弥呼/吉野ヶ里遺跡
三 アジアの王たちは中国に朝貢した
箸墓の伝説/女性首長の古墳/倭国と朝鮮三国/倭の五王の手紙/中華思想と冊封体制
四 儒教と仏教が倭の文化を変えた
新羅の発展と筑紫の反乱/倭国への渡来人/遣隋使の派遣/冠位十二階と憲法十七条の制定/仏教伝来と飛鳥文化
五 倭は日本という国名を定めた
唐の建国と大化改新/百済・高句麗の滅亡と白村江の敗戦/壬申の乱から律令国家へ/天皇号と日本国の成立/「天皇」という諡号
六 天皇は北東アジアに君臨しようと試みた
大宝律令の制定/女帝の時代/律令制度と農民/日本の冊封体制と新羅・渤海
七 仏教は民衆の間にも広まった
国家仏教の成立/民間仏教の広がり/民間信仰と神仏/貴族と民衆の疫病対策/母と子の絆
八 桓武天皇は新しい王朝を開いた
桓武天皇と渡来人/三八年間の蝦夷戦争/最澄と空海/律令制の再編/律令から格式へ
九 藤原氏が政治の実権を握った
藤原氏の発展と幼帝の即位/藤原道長と摂関政治/国司を訴えた郡司・百姓/摂関時代の婿入婚
II 中世
一 新たにつくられた社会のかたちは四〇〇年もつづいた
中世の風景を描く/荘園の広がり/郷や村の成り立ち/中世に生きる人びと
二 朝廷と協調しながら武家政権は成長していく
院政のはじまり/武士の登場/頼朝挙兵の背景/朝廷と幕府の関係
三 武家の幕府はいったん滅びるが、まもなく再建される
鎌倉幕府の政治/鎌倉御家人の世界/北条一門滅亡の要因/長引く南北朝内乱
四 室町殿が公家と武家を統括する
室町幕府の確立/朝幕関係の変化/朝貢貿易の開始/室町幕府の政治
五 地域の人びとも活発に動いた
中世の百姓/行動範囲の広い中世の人びと/流通したのは中国銭ばかり/惣村の自治
六 中世の人びとの生活をのぞいてみると
人びとの願いと信仰/中世の寺院と僧侶/人びとのつきあいと娯楽/中世の女性の地位と役割
七 長い列島にはさまざまな地域があった
日本列島のかたち/京都と鎌倉/中世の北方世界/中世の沖縄
八 戦いの時代をへて社会のかたちは大きく変わった
戦国時代のはじまり/戦国大名の達成/兵士たちの戦いの現実は/統一政権の成立
III 近世
一 下剋上の乱世から惣無事の世へ変わった
「戦争」の封じ込めへ/郷村の「暴力」の封じ込めへ/徳川氏が覇権を確立する/「安民」を約束して信を求める
二 幕藩体制の支配秩序がつくられていく
預かって治める大名/公武和融へ/宗門統制とキリシタン禁制/島原天草一揆
三 海禁環境が完成していく
東アジアの三つの危険な要素/朱印船と日本町/解禁と長崎のオランダ貿易・唐人貿易/異国と異域
四 民間社会が育っていった
小農を中心にした農業と林産・水産・鉱産/商人・職人と奉公人・徒弟/町・村・浦の交流と物流 /請負で成長する民間社会
五 文治支配のもとで民力が伸長する
文治支配への流れ/実力行使と口利き・訴訟/伝来文化と寛永・元禄文化/近世の政治文化と儒学・諸学問
六 ジェンダーと身分の差別が時代を支える
いくつもの身分のものさし/近世の両性関係と「家」/労働文化と農書/和風の暮らし
七 難儀打開の改革政治がつづいた
元禄の政治と正徳の治/享保の改革と質地騒動/田沼の政治と寛政の改革/藩政改革と名君
八 民間社会が矛盾を深める
打ちこわし・村方騒動・国訴/百姓一揆/識字力の高まりと学習の動機/経済の流れと社会の格差
九 学問と芸能が民間に広がった
生活者と文化/文人と専門芸能/教育と学習/学問の諸流
一〇 内憂外患のもとで復興の苦心がつづく
大塩平八郎の乱/異国船打払い令と蕃社の獄/天保の幕藩政改革/アメリカ特使ペリーの来航と和親・通商条約