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すっきり!わかる 歴史認識の争点Q&A

南京虐殺はでっちあげ?「慰安婦」制度はどの国にもあった?歴史の歪曲にきっぱり反論できる論拠と証拠をこの1冊に。

著者 歴史教育者協議会(歴教協)
ジャンル 政治・社会・労働
歴史・地理・伝記
出版年月日 2014/05/30
ISBN 9784272521012
判型・ページ数 A5・160ページ
定価 本体1,500円+税

南京虐殺はでっちあげ?「慰安婦」制度はどの国にもあった?政治家の発言やネット上で横行する歴史的事実の歪曲に、きっぱり反論できる論拠と証拠をこの1冊に。政治家の主要発言や談話、教科書記述の変遷も資料として収録。

 

【はじめに】


 いま、歴史認識をめぐる問題がふたたび大きな関心を呼んでいます。安倍晋三首相をはじめとする政治家の歴史認識は、中国や韓国といった近隣国だけでなく、欧州や国際的な人権団体からも反発をよび、アメリカでさえ懸念を表明するほどになっています。
 保守政治家の歴史認識が国内・国外で問題になることは、いまに始まったことではありません。戦後を通じて、保守勢力の政治家たちから、日本の過去の戦争責任を否定したり、矮小化したりする発言が、何度も発信されてきました。一九八〇年代以降は、政治家の発言や行動がメディアでもとりあげられ、外交問題化するようになりました。「失言」によって辞任に至った閣僚も少なくありません。なかでも、こうした「失言」が閣僚から立て続けに出てきたのは、一九九四年から九五年にかけての村山内閣の時期です。この時期は、衆議院の「戦後五〇年決議」や「村山談話」と重なり、この談話に対する反発が自民党内で吹き出します。九六年には、自民党の「明るい日本」国会議員連盟が「慰安婦は商行為に参加した人たちで、強制はなかった」とし、高校や中学校の教科書記述を批判します。これに呼応するように「新しい歴史教科書をつくる会」が設立され、慰安婦記述の教科書を攻撃するようになりました。その後二〇年をかけて、こうした主張がメディアやネット上でも定着し、南京虐殺否定論、沖縄戦での「集団自決」は強制ではなかったとする論など、さまざまに展開してきました。また、入学式や卒業式で日の丸の掲揚や君が代の斉唱を強要し、従わない教師を処分する流れなども並行してすすみました。
 一連の主張のもとにあるのは、アジア太平洋戦争を「やむをえなかった」自衛戦争、あるいはアジア解放の戦争と位置づけ、日本軍の行為を肯定する歴史認識です。
 とりわけ、こうした歴史観を強く主張し、メディアや教科書への介入を主導してきた安倍晋三氏が首相になると、みずからと同じ見解をもつ人物を要職につけ、さまざまな場でいびつな歴史観が大手をふるって表明されるようになりました。
閣僚による靖国神社参拝や侵略正当化の発言が相次ぎ、橋下徹大阪市長や籾井勝人NHK会長の「慰安婦」正当化発言なども、内外の批判をよびました。さらに安倍内閣は「村山談話」や「河野談話」の見直しまで示唆しています。
 こうした発言は当然、中国・韓国をはじめ国内外の反発をよびました。しかし、日本のメディアは歴史の事実よりも、「反日」運動といった見方ばかりを大きくとりあげることで、かえってナショナリズムをあおる結果を生み出しています。こうした動きは、街頭で「朝鮮人を殺せ」などとヘイトスピーチをくりかえす「在特会」などの排外主義運動の支えになっています。
 日本の戦争がすべて正しかったとまでは思わなくても、「中国や韓国は自国のために歴史問題を利用している」とか、「『慰安婦』のなかには金ほしさで志願した人もいた」といった主張を聞くと、「そうかもしれない」と思ってしまう人もいるでしょう。しかし、事実を検証していけば、瑣末な点をとらえて日本のおこなった侵略行為や植民地支配の全体を「なかったこと」にできるはずがないことは明らかです。
 このような、事実を歪曲する歴史認識を生んだのは、日本が戦争責任をあいまいにしてきたことと無関係ではありません。歴史に目を閉ざすのではなく、日本の負の歴史と向きあい、事実によって確かめることが大切です。現在を生きる私たちは、歴史から学び、ふたたび過ちをくりかえしてはなりません。
 「教育改革」の名のもとに、教科書から記述の自由が奪われ、時の政府の歴史観が押しつけられようとしているなかで、とりわけ、子どもたちに確かな歴史認識を育てる学校と教員の役割が重要になってきます。事実にもとづいた歴史を共有し、民主的な社会を担う主権者としての常識を回復していく必要があります。
 本書は、歴史認識をめぐるもっとも典型的な論点について、二〇のQ&Aのかたちでまとめました。時系列順に読むことで、日本の近代史の概略を知ると同時に、コラムや資料もあわせて読んでいただくことで、基本的な事実を確認できるように編集しています。事実にもとづく正確な歴史認識とはどういうものかを判断していただくために、それぞれの学校・地域・職場で、本書を活用していただきたいと思います。また、そのことを通してアジア、世界の人びととの対話がいっそうすすむことを、私たちは願っています。
 二〇一四年五月

編集委員 石山久男 大野一夫

Q1 「侵略の定義は学界的にも国際的にも定まっていない」?
Q2 「日清戦争は朝鮮の独立を守るための戦いだった」?
Q3 「日露戦争はロシアの侵略から国益を守るための自衛戦争だった」?
Q4 「韓国併合条約は国際的にも合法であった」?
Q5 「満州事変・日中戦争は中国の排日運動による日本人への危害に対する自衛戦争だった」?
Q6 「南京虐殺はなかった」?
Q7 「アジア太平洋戦争はアジア解放のための戦争だった」?
Q8 「アジア太平洋戦争はやむを得ない戦争だった」?
Q9 「日本は植民地(台湾・朝鮮)でいいこともした」?
Q10 「『慰安婦』について、軍や官憲の強制連行を示す記録はない」?
Q11 「『慰安婦』は金をもらった合法的な公娼であった」?
Q12 「『慰安婦』制度はどこの国にもあり、日本だけが非難されるのは不当だ」?
Q13 「沖縄戦での『集団自決』は日本軍が命令したものではない」?
Q14 「東京裁判は戦勝国による不当な裁判である」?
Q15 「日本国憲法はGHQに押し付けられた憲法だ」?
Q16 「教育勅語のなかにはよい内容もあった」?
Q17 「君が代の歌詞には、繁栄と平和への願いがこめられている」?
Q18 「国のために犠牲になった人々を祀る靖国神社への参拝を非難するのはおかしい」?
Q19 「在日韓国・朝鮮人の強制連行はウソで、自分の意志で来日して居座っている」?
Q20 「アジア諸国に対する賠償はすべて解決しており、韓国などの要求は筋違い」?

コラム
1 関東大震災時の朝鮮人虐殺をめぐる教育委員会の介入
2 『はだしのゲン』の閉架問題
3 ナチスのまねをすればいい?
4 都教委などによる高校日本史教科書の採択排除問題
5 加害の歴史を学ぶことは、「自虐史観」か

資料編
1 塗り替えられた教科書記述
2 教科書検定基準
3 政治家の主要な発言
4 政府首脳の談話など
5 近隣国との共同声明など
6 「慰安婦」に関する国連勧告
7 「慰安婦」に関する各国の決議


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