SNSの普及により誰もが表現者になれる昨今、ヘイトスピーチなど新たな紛争が増える一方、
秘密保護法や共謀罪、公文書改ざんで民主主義の危機は深まるばかり。
錯綜する問題状況を整理し未来に開かれた表現の自由論を展開する!
はじめに
第1章 表現者の足跡――なぜ「表現の自由」か
1 「表現の自由」の足跡
(1)『王妃マルゴ』と『1492 コロンブス』
(2)大衆文化と民主主義――パンフレット、雑談、カフェ、風刺……
(3)共存のための「非暴力」と「表現の力」
(4)芸術や文芸の魅力と国家
2 なぜ「表現の自由」か
(1)個人の人格と生存を支えるものとして
(2)社会を支えるものとして
(3)弱さを抱えたものとして
3 日本国憲法21条「表現の自由」
(1)「一切の表現の自由」
(2)公共の福祉
(3)「検閲の禁止」
(4)通信の秘密――プライベートなコミュニケーションの自由
第2章 一人ひとりの人格権と「表現の自由」
1 「表現の自由」と人格権
2 名誉毀損
(1)刑法上の名誉毀損
(2)民法上の名誉毀損
3 プライバシーの権利
(1)プライバシー権の確立
(2)プライバシー情報と個人情報、センシティブ情報
(3)救済の方法――損害賠償と差止め・削除命令
4 肖像権
(1)肖像権の内容
(2)パブリシティ権
(3)表現者にとって身近な肖像権問題
5 差別表現・ヘイトスピーチと人格権
(1)差別表現
(2)ヘイトスピーチ(憎悪表現)
6 報道の自由とプライバシー権・肖像権
(1)報道とプライバシー権・肖像権
(2)犯罪情報と人格権
第3章 民主主義と「表現の自由」
1 民主主義と「表現の自由」と「知る権利」
(1)民主主義のサイクルと「表現の自由」
(2)熟議と「知る権利」
2 民主主義における表現の「自由」
(1)選挙運動における規制
(2)署名運動、ビラ配り
(3)集会、デモ
3 民主主義の空間と「政治的中立」
(1)集会の自由と場所の利用
(2)場所の利用と「政治的中立」
(3)「フェイク」と「ノスタルジーの政治」
第4章 共存社会と「表現の自由」
1 「生きるということ」を支える「表現の自由」
(1)共存社会――技術と文化
(2)情報技術社会の中での共存
2 多文化社会――マイノリティ性との共存
(1)多文化社会とは
(2)ヘイトスピーチ規制
(3)児童・青少年などへの配慮
(4)「ポルノグラフィ」をめぐる議論
3 経済社会と「表現の自由」
(1)表現も、経済の世界では制約が
(2)知的財産権の保護と「表現の自由」
4 著作権法
(1)保護強化の流れと「表現の自由」
(2)著作物とは
(3)何をやったら著作権侵害?――著作権の内容
(4)著作権の制限規定――自由利用のルール
(5)権利の発生と権利保護期間
(6)著作物の利用と権利侵害・権利の行使
第5章 文化芸術と「表現の自由」
1 法からの自由としての文化芸術の自由
(1)裁判に現れた「芸術性」問題
(2)人格権と芸術表現
(3)性表現規制と芸術性
2 文化芸術支援と「表現の自由」
(1)文化芸術支援とは――
(2)文化芸術を支える施設と「表現の自由」
(3)文化芸術における「公」と「私」
(4)文化支援の中のオリンピック
3 文化芸術と政治と「表現の自由」
(1)文化芸術と民主政治の関係
(2)文化芸術と政治的中立
あとがき
主要参考文献