月愛三昧(がつあいさんまい)

親鸞に聞く

40年にわたり親鸞の声に耳を澄ませてきた著者が、日本と朝鮮、自分自身の生涯とともに、日本史の闇に深い眼差しをそそぐ大著。

著者 高 史明
ジャンル 哲学・思想・心理
歴史・地理・伝記
出版年月日 2010/07/02
ISBN 9784272430819
判型・ページ数 4-6・928ページ
定価 9,900円(本体9,000円+税)

日本史の闇を切り裂く親鸞の声を聞く

 『古事記』の時代から現代まで、日本史の底に流れる思想潮流と仏教との葛藤の渦。40年にわたり親鸞の声に耳を澄ませてきた在日朝鮮人の著者が、日本と朝鮮、自分自身の生涯とともに、歴史の闇に深い眼差しをそそぐ大著。


 

「あとがき」(2010年6月1日)より

「……私はいま、自分の心身に世界の深い地鳴りが広がるのを感じている。陰々と広がる地鳴り。その地鳴りはしかし、決して暗い響きばかりではない。重い響きの奥の方に吹き上がっているのは、明らかに第二次世界大戦後の重い歴史を背負って立つ人々の、未来へと向かう地の底からの足音である。

五濁(ごじょく)の深い二十世紀に生まれ、二十一世紀の不安を生きる私はいま、その人生の終末を意識するようになって、改めてその自分自身の心身の地鳴りを意識するのである。私はその地鳴りを記録したいと思った。そして、書きはじめたのであった。それが千枚にもおよぶ記録となったのである。

いまこの「あとがき」を書こうとして、人間の最良のメッセージは沈黙にほかならないという思いが、改めて脳裏を過ぎるのを覚える。しかし、「聲(こえ)」という漢字は、石と石とがはっしとかち合ったときの音を意味するということを聞いたことがあった。五濁を食してきた人間なればこそまた、自らを五濁の大海に投げてみるのも人間の印として許されるかも知れないという思いが、いまの私にはある。どんな「音」が起きるか。……」

 


カバー画:「ガーデニング(平和への道)」大岩オスカール幸男(東京国立近代美術館蔵)  Gardening(Way to Peace)ⓒOscar Satio Oiwa

 

月愛三昧―月明かり/「愛別離苦」/ジネンニイキルナラ/「じぶん」/自分とは何か/ボクハモウダメ/「一文不通のともがらの―」/言葉の知恵の明暗/二河白道/慈悲と悪人/阿闍世(あじゃせ)とオイディプース/現代の闇の根っこ/福沢諭吉/『学問のすゝめ』/文明と人知/「宇宙」という名の書を読む―/人間の逆説/時代の闇/末法と法然/光明・念仏/蓮如の第一声/劫濁と人間/人知の闇/蓮如の時代/蓮如の二元論/仏法と王法/後生の一大事と王法為本/末法の明暗/実如の時代/円環と分裂/戦国の始まり/長島一揆と石山合戦/キリシタンが見た信長/イエズス会士の目/石山本願寺の合戦/石山本願寺の落城/豊臣秀吉の登場/顕如とフロイスと秀吉/フスタ船/秀吉の世界地図/秀吉の有頂天/秀吉の神懸り/秀吉の侵略/和平交渉の真相/鼻切り、塩詰め/姜沆(カンハン)と惺窩(せいか)/非連続の連続/『古事記』と「三韓征伐」/『日本書紀』とコトバ/『古事記』とコトバ/黄泉の国と言霊/臨終往生と念仏往生/「念」とは何か/良遍の「唯識教学」/信楽に一念あり/維摩の沈黙、百雷の如し/「世間虚仮」/武家と朱家と仏家/徳川幕府と宗教政策/島原の乱と日本朱子学/幕藩体制の明と闇/天下泰平と仏教/闇斎と神道/「仮」というは―/幕末の大変動/靖国の思想/福沢諭吉と山崎闇斎/国権と民権/有司専制と大義名分/征韓論/「深慮遠謀」/国会開設/「聖詔」/帝国憲法への道/教育勅語への道/大日本帝国憲法/教育勅語は何を語るか/仏教と教育勅語/暁烏敏の思想/垂加神道と浄土真宗/体認と超個の人/物のあわれ/人間と自然/同根・異質/無明長夜/戦争と平和/人間と無明/「闇斎学と闇斎学派」/親鸞と現代/いのちと智慧/機械と人間/亡き子との再会/夜になったら/願作仏心・度衆生心・自然法爾/あとがき/出典・参考文献一覧

関連書籍

同じジャンルの商品

SHOPPING ご注文

定価9,900円(本体9,000円+税)

ネット書店で購入

SHARE シェアする

このエントリーをはてなブックマークに追加

おすすめ書籍