青年の社会的自立と教育

高度成長期日本における地域・学校・家族

出産・育児、教育の構造が変貌した高度成長期。社会へと向かう青年と家族の諸相、また教師のかかわりを口述史料からを描き出す。

著者 橋本 紀子
木村 元
小林 千枝子
中野 新之祐
ジャンル 政治・社会・労働
教育・保育・子育て
出版年月日 2011/02/18
ISBN 9784272412136
判型・ページ数 A5・384ページ
定価 6,380円(本体5,800円+税)

経済構造の大変動により、地域差をもちながら、出産・育児、教育の構造が変貌した高度成長期。そのなかで社会へと向かう青年、その家族の諸相、また教師のかかわりを口述史料から捉え返し、〈生きられた歴史〉を描き出す。

序章 「青年の自立と教育」の社会史を目指して(橋本紀子・木村元・横畑知巳)
 第1節 問題関心と研究課題の設定
 第2節 本書の位置――先行研究との関連で
 第3節 研究の方法・視角――「青年」と「社会的自立」の歴史性と社会的規定性
 第4節 研究の資料――口述史料で捉えようとする「事実」
 第5節 本書の構成

第Ⅰ部 高度成長期における〈学校から職業社会への移行〉 

第1章 高度成長期の社会と教育(木村元・松田洋介) 
 第1節 高度成長下の生活の変容
 第2節 産業構造の転換と人口移動
 第3節 戦後の進学行動の展開
 第4節 高度成長期における〈学校から職業社会への移行〉の形成

第2章 〈学校から職業社会への移行〉の諸相(木村元・松田洋介) 
 第1節 学校から職業社会への「出口」をめぐる動態
 第2節 新制中学校の展開
 第3節 新制高校の展開

第Ⅱ部 進路選択の実際――農村と都市

第1章 農村社会における〈学校から職業社会への移行〉――秋田の「集団就職」(橋本紀子)
 第1節 本章の目的と研究方法
 第2節 一九五〇年代後半から六〇年代にかけての秋田県の教育と職業安定行政との関連
 第3節 地方行政から見た「集団就職」
 第4節 早期の旅立ちの意味世界――「金の卵」の都市への移動の実際
 第5節 「集団就職」という形での出郷のもった意味

第2章 昼間二交代定時制課程を生きた少女たち――愛知県立起高等学校(小林千枝子)
 第1節 課題と方法
 第2節 定時制の推移と昼間二交代定時制の特色
 第3節 昼間二交代定時制課程の実際――愛知県立起高校昼間定時制概観
 第4節 卒業生の述懐
 第5節 入学の経緯と揺れる心
 第6節 「働きながら学ぶ」生活をめぐる苦悩
 第7節 結論と今後の課題

第3章 都市部伝統産業地域の子どもたちの職業選択と学校――京都西陣の場合(中野新之祐)
 第1節 本章のねらいと方法
 第2節 高度成長期における西陣業界の変化
 第3節 京都における高校制度の特徴と進路選択
 第4節 一九六〇年翔鸞小学校を卒業した子どもたちのその後

第Ⅲ部 進路指導をめぐる実践と理論の諸相

第1章 過疎化と地域産業の盛衰のなかでの進路選択――京都府奥丹後(小林千枝子)
 第1節 課題
 第2節 「機屋」勤めの時代
 第3節 『雪崩』の世界と京都府における新規学卒者の進路状況
 第4節 過疎問題の進路指導への影響――「村をすてる学力」か「村に残る学力」かの葛藤
 第5節 進学率の急上昇をもたらした出機
 第6節 教師と子どもたちが捉えた機業生活の実際

第2章 高度経済成長期の中学校における「進路指導」問題――全国進路指導研究会に参加した教師たちの実践に即して(横畑知己)
 第1節 本章の課題
 第2節 進学組と就職組――池上正道の実践
 第3節 「高校全入」運動と全進研
 第4節 「働くこと」をどう教えるか――三木雄一の実践
 第5節 農村の構造変化と中学校教育――瀬島敏男の実践
 第6節 まとめ

第3章 戦後民間教育運動の「進路指導」論の射程る――一九六〇年代における全国進路指導研究会の展開に着目して(松田洋介)
 第1節 本章の課題
 第2節 「進路指導」の時代
 第3節 「進路指導」批判とその困難
 第4節 「われわれの進路指導」をつくる

第4章 地域の学校づくり――京都府立北桑田高校昼間定時制美山分校の成立と地元定着指導実践(小林千枝子)
 第1節 課題
 第2節 青少年の生き方の変化――美山町鶴ヶ丘の一九五二年と一九七〇年
 第3節 分校の存続へ――地域のための分校という図式の成立
 第4節 美山分校の開設
 第5節 美山分校の地元定着指導実践

第Ⅳ部 家族の子育て意識と教育

序 戦後初期から高度成長期にかけての女性の労働と産育をめぐる動向(橋本紀子)

第1章 日本における受胎調節運動と「子ども二人」の家族像(蔵澄裕子)
 第1節 課題意識と本章のねらい
 第2節 受胎調節運動の始まりと展開
 第3節 「子ども二人」の世界――一九七〇年代における社会動向と「教育家族」の登場

第2章 家族計画運動と炭坑労働者家族の子ども観(柳井郁子)
 第1節 問題関心と課題設定
 第2節 常磐炭鉱における家族計画運動
 第3節 労働者家族にとっての少子化――近代的家庭生活への志向
 第4節 少産化と子ども観
 第5節 まとめと今度の課題

第3章 性教育実践に見られる教師や保護者の性意識と子ども観――一九六〇年代後半から七〇年代前半における札幌市立柏中学校の性教育実践から(茂木輝順)
 第1節 課題意識と本章のねらい
 第2節 アンケート調査に見る保護者の意識
 第3節 実践計画の作成
 第4節 実践の特徴
 第5節 保護者の性意識・子ども観――PTA研究会の発言から
 第6節 今後の課題

補論 「教育家族」の学力要求と家庭向け教材づくりの現実――㈱日本標準を題材として(小川年史)
 第1節 課題と方法
 第2節 ㈱日本標準の設立
 第3節 『月刊標準テスト』の作成・販売
 第4節 到達目標・評価論の出現と成立
 第5節 『月刊・学力はつらつ』(家庭用教材)の作成・販売
 第6節 まとめと今後の課題

終章 戦後日本の青年と教育――多様な経験の実相(中野新之祐)

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