おしゃべり・雑談の政治哲学

近代化が禁じた女たちの話し合いと〈講〉

アーレントの〈活動〉概念を手がかりに、〈講〉や社会教育の話し合いグループの検討から、公共的空間の再構築の可能性を探る。

著者 岩谷 良恵
ジャンル 哲学・思想・心理
出版年月日 2011/11/18
ISBN 9784272350353
判型・ページ数 A5・224ページ
定価 本体4,200円+税

人々の自由で対等な話し合いがなされてきた〈講〉や寄り合い、井戸端会議は、なぜ近代化のなかで否定されたのか? アーレントの〈活動〉概念を手がかりに、おしゃべり・雑談のなかに、公共的空間の再構築の可能性を探る。 

序章 なぜおしゃべり・雑談を問うのか
 1 問題の所在
 (1)社会教育で議論された話し合いをめぐって
 (2)話し合いを保障してきた講の営みと近代化との関係
 (3)近代化における話し合いの意味の喪失――アーレントの「活動」概念をふまえて
 (4)ジェンダーの視点から見る話し合いの意味と課題
 2 本書の目的と方法
 (1)本書の目的
 (2)研究の方法

第1章 戦後の民主化における社会教育での話し合いの課題
 1 GHQおよび文部省が進めた民主主義と話し合い
 2 女性の学習として重視された「話し合い学習」の始まりと展開――「共同学習」の流れをふまえて
 3 「話し合い学習」の意義をめぐる論争――「考える」学習論から「行動」できる学習論への転換

第2章 思考と判断を保障するおしゃべり・雑談の意味――十分に言葉に表現できない立場から見える営み
 1 千葉県銚子市の〈話し合いグループ〉の活動が示す意味
 (1)〈話し合いグループ〉の活動概要
 (2)話し合いグループ〉における「話し合い学習」の位置づけ
 2 思考と判断を保障するおしゃべり・雑談の意味
 (1)〈話し合いグループ〉の参加者が捉える意味
 (2)〈話し合いグループ〉から講への移行の積極性
 3 女たちの公共的な空間――労働や暮らしにおける話し合いと活動
 (1)田でたくさんの話をしていた女性たち
 (2)井戸端会議の機能と意味
 (3)「女の世間」が意味するもの――女性たちにとっての公共性とは何か

第3章 人々の話し合いを保障する営みとしての講
 1 講の始まりと「ハレ」(公事)との関係
 2 人々が下からつくる公共的なものとしての講――中世・近世の社会変化と講の変遷を中心に
 3 戦後サークル研究に見られる講の積極的な位置づけ
 4 「話に花が咲く」経験の重要性――現代に続く講に見られる共通性から
 (1)聞き取り調査から見えた講の概要
 (2)「話に花が咲く」経験の重要性

第4章 明治期の近代化と講の成立条件の破壊――講が禁止・抑圧・管理されたのはなぜか         
 1 明治期における近代化の問題
  (1)先行研究の動向と課題
(2)「国体」概念と福沢諭吉の「文明」論に見られる課題
(3)平民女性のおしゃべり・雑談に対するまなざしと近代化
 2 宗教・信仰の改変における講および人々の集まりの位置づけ
 (1)神仏分離令と関連法に見られる人々の集まりの禁止
 (2)神道への教化手段として組み替えられる講
(3)講を支えてきた民間信仰の否定
 3 人々に息づいてきた生活文化の禁止と変容
(1)風俗改良運動がもたらした生活文化の変容とその意味
(2)資本主義の形成と講――なぜ頼母子や無尽も禁止されるのか
(3)公共的な休日が消える過程――労働中心の生活への変容
 4 地方改良運動による講の成立条件の破壊
 (1)地方改良運動が支えられる背景
 (2)地方改良運動がもたらした人々の公共性の変容
 (3)人間関係の改変――男性の上下関係への編成と女性の役割の固定化

終章 なぜ講は否定されてきたのか

資料1 銚子市〈話し合いグループ〉の結成一覧と地区別総数
資料2 銚子市〈話し合いグループ〉調査対象者9人の基本的属性

あとがき

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