いのちと責任

対談 高史明・高橋哲哉

哲学者・高橋哲哉が、在日朝鮮人の作家・高史明を訪ねた2010年12月から2011年8月までの対談集。

著者 高 史明
高橋 哲哉
李 孝徳
ジャンル 哲学・思想・心理
出版年月日 2012/02/20
ISBN 9784272430895
判型・ページ数 4-6・216ページ
定価 2,200円(本体2,000円+税)

 「日本人は何をよりどころに生きているのか、また死ぬのか。……歴史のなかで自分が生きている根拠を問う書」
……高史明の大著『月愛三昧(がつあいさんまい)』を読んでそう語る高橋哲哉が、そこで提起された問題を入り口に、高史明と深く語りつくす。

「私」の罪、人間の罪、
国家の罪、大地への罪
――そして、未来へ。

在日朝鮮人と日本人、仏教と西洋哲学――自らを深くえぐりながら現実の問題に真摯に向きあうふたりの鋭く、そしてあたたかい対話が、3.11後を生きるすべての人を深い思考に誘ない、これからの道を照らす。

 


<高橋哲哉「はじめに」より>
……本書の対談は、2010年12月から翌年8月までの間、4回にわたって行なわれた。当初は12月の2回の対談で終了する予定だったのが、その倍にまで及んだのは、ひとえに東日本大震災と福島原発事故という未曾有の事件の出来による。この事件の衝撃を受けとめたとき、日本と東アジアそして人類の近代史全体の、さらには人間存在そのものの根底的な問い直しが必要であることは明白だった。まるで私たちの対談が、大震災と原発事故から挑戦状を突きつけられているように私には感じられた。……

<高史明「あとがきにかえて」より>
……李孝徳さんの司会で始まった高橋哲哉さんとの対談では、「いのち」が深く見つめられることになっている。その一方、人間存在の「罪と罰」が根源的に見定められていると思う。私は高橋哲哉さんと李孝徳さんの目線にじつに深く多くを教えられた。本書をひもとかれる方々もまた、きっと「いのち」とかかわって、人間の生き方の根っこを感じとっていただけるのではなかろうか。それこそ近代世界が見失っている真の「平和」を開く道に通底しているのである。……

<李孝徳「解説にかえて」より>
……この国で3.11以後を生きる者にとって、いま何より必要とされるのは、この想像力ではないだろうか。未来に向けて過去を問い、あたかも自明なもの、絶対的なものとして現われている現在を批判的にとらえ、別様な社会を構想するための想像力である。本書における、3.11とその後の福島原発事故をめぐる、ふたりの厳しい議論は、その格好の例であろう。ここには別様の未来を眼差すための手がかりが、それこそ無数にちりばめられていると確信している。……



■表紙・扉画:「巣(ブラックボックス)」大岩オスカール/Nest(black box)ⓒOscar Oiwa
(本作品は大岩オスカール氏がサンパウロ・ニューヨーク・東京で行なった3.11のチャリティーセールに出品、現在サンパウロの個人蔵)

大岩オスカール(おおいわ オスカール)
1965年ブラジル・サンパウロ生まれ。日系ブラジル人二世。1989年サンパウロ大学建築学部卒業後、1991年より日本、2002年よりニューヨークを拠点に活動。主な個展:東京都現代美術館「大岩オスカール 夢みる世界」展(2008年、福島県立美術館ほか巡回)。主な著作:『大岩オスカール グローバリゼイション時代の絵画』(現代企画室)。

 

はじめに 高橋哲哉

2010年12月19日・29日
1 声なき問いかけ
2 宗教の呪縛
3 人間の罪、大地への罪
4 国家の罪と人間存在の根
5 子どもと「いのち」

2011年6月13日
6 日本のありようがまるごと問われている
(『世界』2011年8月号「東日本大震災・原発災害」特集対談に若干の加筆・訂正を加え収録)

2011年8月6日
7 裁くこと、赦すこと
8 世界の未来へ、いまこそ日本ができること

あとがきにかえて 高史明
解説にかえて 李孝徳

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