【web連載】須藤遙子「愛妹通信―自衛隊広報レポート」第25回

岩国フレンドシップデー2017


愛妹。第41回目となる米海兵隊岩国航空基地でのフレンドシップデーに行ってきました。近年は毎年5月5日に開催されており、海上自衛隊との共催となっています。



私は博多から旅行会社のツアーで参加したのですが、そのツアーだけでもバス7台を連ねて行くとのこと。会場に着くと、観光バスだけで200台あまりも停まっていて驚きました。

年に一度しかない基地開放、盛りだくさんの航空ショーに加えて、中ではホットドッグやピザなどのアメリカンフードが食べられるとあって大人気のイベントのようです。今年は約21万人が訪れたと報道されました。



バスが駐車場に入る前に、ゲートでのチェックがあります。相当数のバスが狭い道を一列に並んでいて、じりじりとしか進みません。

ようやくチェックのところまで来ると、体格のいいアメリカ兵がシェパードを連れてバスのまわりを一周しているのが見えました。爆発物などを探知する犬なのでしょう。

こういう光景はこれまで行った自衛隊のイベントでは一度も目にしたことがなかったので、それまでのイライラも忘れてなんだか妙に納得してしまいました。良くも悪くもというべきか、日本の自衛隊はまだまだセキュリティが甘いのですね。


バスの中から基地内の居住地区を見ることができましたが、通りに「…Street」というような英語の名前が付いているかと思えば、道路標識は日本のものを使っているなど、不思議な混ざりようでした。

英語の名前が付いているということは、そこは当然ながら「アメリカの領土」を意味するわけで、「基地」という名前で誤魔化されているけれど、やはり日本の国土の一部はアメリカのものになっているのだな、と実感して、少し嫌な気持ちになりました。

スーパーマーケットの表に設置してあったキャッシュディスペンサーは完全にアメリカのものだったので、流通通貨もドルなのでしょうね。


いよいよ会場に入りますが、パスポート、運転免許証、保険証などの提示が必要です。自衛隊のイベントでも簡単な持ち物チェックはおこないますが、身分証明書の提示は求められません。パスポートはともかく、免許証などの日本語の証明書はどうやってチェックするのだろうと思っていたら、担当していたのは海上自衛隊の隊員でした。

入り口から会場エリアまでがまた10分弱かかります。四角い素っ気ない大きな建物の間の広い道をぞろぞろと連なって歩いていくのですが、会場エリアに入ってそのあまりの広さに本当に驚きましたよ!

これまで行った自衛隊の航空基地がいくつも入ってしまいそうな敷地に、気前よく何機もの飛行機が並び、たくさんの軍事車両が展示されています。巨大な子ども用のアトラクションがいくつも並び、芝生にテントを持ち込んで曲芸飛行のシャッターチャンスをねらっている人も大勢います。





体の大きなアメリカ兵たちが乗るだけあり、軍事車両は自衛隊のものよりどれもとても大きくて頑丈そうです。いくつかの車両は中に入ってもよかったので、私は軍用トラックの運転席に座ってみましたが、よじ登るようにしないと席に入れず、高さは日本の大型トラックの1.5倍ほど、長さは2~3倍にもなるかという印象でした。

各車両や飛行機のそばには、女性の場合も含めて担当の米兵が一人はいるのですが、彼ら彼女らが全員容姿が整っているのが目につきました。金髪の白人がほとんどで、彼らはいかにも陽気なアメリカ人らしくニッコリと笑って入場者と一緒に写真に収まっています。女性兵士も体はがっしりしているものの、ハリウッドの戦争映画に出てきそうな美人ばかりでしたね。

愛妹、私は彼らを見て「広報任務」の兵士なのかなと思いました。20代半ばくらいの容姿の整った男女を選別し、女性には専属のヘアメイクがいて(彼女たちは全員同じ髪型に綺麗にセットされていました)、もしかしたら笑顔の作り方まで指導を受けて、現地の日本人を魅了し圧倒する役割を担っているのではないかと。食堂車の中を数名で担当していた黒人兵士や、住居地区を歩いていた非番の兵士の容姿との落差は、正直かなりのものだったからです。





この展示会場からは全然見えないさらに離れた場所にある航空ショーのメイン会場では、今回一般に初公開された米海兵隊のF35B最新鋭ステルス戦闘機やオスプレイが展示されていました。オスプレイの中は入れるようになっていたので、私も乗り込んでみましたが、芦屋基地で乗った輸送用ヘリコプター同様に、人や物資を運搬するためにほとんどがらんどうでした。





愛妹、事故が多くて沖縄でも配備に対する反対の声が強いオスプレイなので、さぞかし眉をひそめる人が多いと思うかもしれませんが、どのイベントに行っても本当に「大人気」です。単純に「有名」だからということなのでしょうが、この事実は実際に見てみないとなかなかわからないものではないでしょうか。

そのオスプレイのデモ飛行を含め、戦闘機や日本の民間チームの曲技飛行、フライングスーツを使用した高空からのジャンプや米陸軍によるパラシュートデモ、航空自衛隊ブルーインパルスの展示飛行など、航空ショーも盛りだくさんでした。


2017年度中に岩国基地には厚木航空基地から米海軍第5空母航空団が移駐予定となっており、極東最大の米軍基地となるべく着々と準備が進んでいます。基地のあちこちで工事がおこなわれ、新しい建物が次々と建設されていました。地理的に北朝鮮や中国に近いことに加え、山口県が安倍首相のお膝元であることも関係しているでしょう。

アメリカの強さとしたたかさ、軍事関連産業に群がる日米の動きを、あらためて見せつけられた今回のイベントでした。


 



★「愛妹(あいまい)」の由来については、こちらをお読みください。

 

 

★連載第1回「防衛省市ヶ谷台ツアー」
★連載第2回「陸上自衛隊広報センター「りっくんランド」」
★連載第3回「海上自衛隊第1術科学校
★連載第4回「平成27年度富士総合火力演習」
★連載第5回「防衛大学校見学ツアー」
★連載第6回「アメリカ海軍兵学校見学ツアー」
★連載第7回「航空自衛隊浜松広報館「エアーパーク」」
★連載第8回「艦艇公開 護衛艦さみだれ」
★連載第9回「アニメ『ガールズ&パンツァー』」
★連載第10回「海上自衛隊呉史料館「てつのくじら館」」
★連載第11回「航空自衛隊春日基地見学」
★連載第12回「陸上自衛隊久留米駐屯地一般開放」
★連載第13回「大刀洗平和記念館と戦跡めぐり」
★連載第14回「防府南基地・開庁記念行事」

★連載第15回「防府航空祭2016」
★連載第16回「自衛隊夏まつり・盆踊りフェスタ」
★連載第17回「佐世保地方隊サマーフェスタ 2016」
★連載第18回「平成28年度自衛隊記念日観閲式」
★連載第19回「出雲駐屯地創立63周年記念行事・市中パレード」

★連載第20回「自衛隊広報としての『シン・ゴジラ』」
★連載第21回「芦屋基地体験搭乗」
★連載第22回
「呉入船山記念館」
★連載第23回
「陸上自衛隊音楽隊 定期演奏会」
★連載第24回「海上自衛隊佐世保史料館「セイルタワー」」

 


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 [プロフィール]
すどうのりこ/1969年生まれ。横浜市立大学大学院博士後期課程単位取得満期退学。メディア学、文化政治学。現在、筑紫女学園大学現代社会学部准教授。著書に、『自衛隊協力映画――『今日もわれ大空にあり』から『名探偵コナン』まで』(大月書店、2013年)。

 

 

※この連載は、日本学術振興会科学研究費助成事業挑戦的萌芽研究「自衛隊広報のエンターテインメント化に関するフィールドワーク研究」(平成27年度~29年度)の成果を一部発表するものです。

 

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