【web連載】須藤遙子「愛妹通信―自衛隊広報レポート」第32回

美ら島エアーフェスタ2017


愛妹。今回は、12月9日・10日の2日間にわたって公開開催された、航空自衛隊那覇基地における「美ら海フェスタ2017」について書きますね。



ホームページによると、那覇基地の飛行場は「国土交通省が管理する官民共用空港」であり、「陸上自衛隊第15ヘリコプター隊及び海上自衛隊第5航空群が混在する特色のある基地」ということです。飛行機に乗って那覇空港に着陸するとき、窓からは様々な自衛隊の航空機やヘリコプター、白地に水色のデザインが特徴の海上保安庁の航空機などが並んでいるのが見えます。

北海道の新千歳空港・千歳飛行場も航空自衛隊が一元管理しているそうで、防衛の要となるような場所では自衛隊が管理しているということなのでしょうか。那覇空港の管制塔は基地内にあるので、エアーフェスタが開催されている間も次々と民間機が離着陸するのを間近で見ることができましたよ。


那覇空港は1933年に旧海軍の「小禄飛行場」として建設され、36年に軍民共用飛行場となった後、45年の敗戦によって米軍に接収されました。現在の空港として発足したのは、1972年の沖縄返還からです。

これまで行った自衛隊の基地では旧日本軍の名残のあるところが多かったのに比べ、那覇基地は自衛隊というより厚木基地や横須賀基地のような米軍の基地のような印象で、アメリカそのものというのがふさわしいのが大きな特徴でしょう。なだらかな丘に広がる綺麗に刈り込まれた芝生や、そこに点在する建物など、日本の風景とはかなり違います。これには、単純に米軍に使用されていた期間が長いことに加え、もともと「内地」とは違う文化圏にあった沖縄独自の事情があるように感じました。


自衛隊のイベントに行くと様々なパンフレットを渡されるのですが、そのなかに「航空自衛隊那覇基地 所在地域の歴史」という冊子がありました。

現在の那覇基地がある場所には、戦前は複数の集落があり、旧日本軍による接収、沖縄戦における激しい爆撃を経て壊滅状態となったそうです。この冊子では、「かつてこの土地にあった集落や、点在する拝所、井戸など、ここに暮らした人々の生活の痕跡を辿り、私有地に所在する基地の役割のひとつとして、この地域の記憶を大切に残していきたい」という趣旨のもと、10以上の拝所を含む数々の遺跡が紹介されていました。

ゲートからイベント海上に向かう道の脇にも、「サーターグムイ」という池がかつてあったことを記す石碑を見ましたよ。



今回行ったエアーフェスタは、夜間に行われるプロジェクション・マッピングと戦闘機によるナイトフライトが珍しかったです。プロジェクション・マッピングは最近どんなイベントでも人気ですが、建物に戦闘機が映り、沖縄の海の中を飛んでいるような映像が途中に入るなど、沖縄の自衛隊を印象づけるような内容になっていましたね。




ナイトフライトでは、F15がアフターバーナーを使用して離陸していました。アフターバーナーというのは、エンジンの排気ガスに灯油系燃料を噴射して加速させるもので、排気口から輪のように光る炎と爆音が特徴です。肉眼では、戦闘機の後ろに丸い輪がいくつもはっきりと見えましたよ。当然ながら凄まじい速度で燃料を消費するので、一般家庭で一年間に消費する石油を6秒で使い切るとアナウンスがありました。


展示場ではF15のコックピットも開放されていたのですが、さすがに内部の写真は禁止されていたとはいえ、現役戦闘機の公開に少々驚きました。自衛隊のイベントでは、こちらがセキュリティを心配してしまうようなことが時々あるように思います。




那覇基地に所属する304飛行隊は今年40周年を迎えたということで、記念塗装機が展示されていました。この部隊はもともと福岡県築城(ついき)基地に所属していたため、福岡県と大分県にまたがる古代からの霊山である英彦山(ひこさん)の天狗が部隊マークとなっており、通常は尾翼に小さく付いている天狗の絵が、記念塗装では背面いっぱいに描かれていました。


会場では、この天狗のコスチュームを着た隊員が歩いていて、皆の注目を集めていましたよ。芦屋基地で体験搭乗したCH-47ヘリコプターの展示場所には、隊員が制作したと思われるそっくりのミニチュアや被り物のCH-47があり、基地全体が楽しんでお祭りを盛り上げている空気を感じましたね。






隊員たちは、来場者のカメラで飛行機のコックピットや車両の運転席に乗った姿を次から次に撮ってあげていました。サンタとトナカイのコスチュームを着た海上自衛隊の広報官は、カメラを向けると笑顔でポーズをとってくれました。


このイベントでは特に隊員の涙ぐましいほどのサービスを感じましたが、もしかしたら普段の訓練や緊張から解放されているだけなのかもしれませんね。朝鮮半島の緊張が相変わらず報道されていますが、このような広報イベントが開かれているうちは平和であるということなのでしょう。



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★連載第1回「防衛省市ヶ谷台ツアー」
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★連載第4回「平成27年度富士総合火力演習」
★連載第5回「防衛大学校見学ツアー」
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★連載第7回「航空自衛隊浜松広報館「エアーパーク」」
★連載第8回「艦艇公開 護衛艦さみだれ」
★連載第9回「アニメ『ガールズ&パンツァー』」
★連載第10回「海上自衛隊呉史料館「てつのくじら館」」
★連載第11回「航空自衛隊春日基地見学」
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★連載第13回「大刀洗平和記念館と戦跡めぐり」
★連載第14回「防府南基地・開庁記念行事」
★連載第15回「防府航空祭2016」
★連載第16回「自衛隊夏まつり・盆踊りフェスタ」
★連載第17回「佐世保地方隊サマーフェスタ 2016」
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★連載第20回「自衛隊広報としての『シン・ゴジラ』」
★連載第21回「芦屋基地ヘリコプター体験搭乗」
★連載第22回「呉入船山記念館」
★連載第23回「陸上自衛隊音楽隊 定期演奏会」
★連載第24回「海上自衛隊佐世保史料館「セイルタワー」」
★連載第25回「岩国フレンドシップデー2017」
★連載第26回「エアーメモリアル in かのや 2017」
★連載第27回「第56回 静岡ホビーショー」
★連載第28回「第4師団創立63周年・福岡駐屯地開設67周年記念行事」
★連載第29回「大和ミュージアム(呉市海事歴史科学館)」 
★連載第30回「航空自衛隊岐阜基地」 
★連載第31回「かかみがはら航空宇宙科学博物館」 

 


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 [プロフィール]
すどうのりこ/1969年生まれ。横浜市立大学大学院博士後期課程単位取得満期退学。メディア学、文化政治学。現在、筑紫女学園大学現代社会学部准教授。著書に、『自衛隊協力映画――『今日もわれ大空にあり』から『名探偵コナン』まで』(大月書店、2013年)。

 

 

※この連載は、日本学術振興会科学研究費助成事業挑戦的萌芽研究「自衛隊広報のエンターテインメント化に関するフィールドワーク研究」(平成27年度~29年度)の成果を一部発表するものです。

 

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